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4.想いを持った利き酒師として

 

記: 井上さんは利き酒師の資格を持ってると伺いましたが、それはどうして取ろうと思ったのですか?

井上さん: そうですね、特に深い理由はなくて僕は利き酒師の資格は酒屋として持っていなければ恥ずかしいと思ったからとっただけで、別に資格をとったからといってそれが直接商売にプラスになることでもないですね。 「地酒をやっているのに利き酒師の資格くらい持ってないのか」って言われるのも嫌じゃないですか。

記: この資格はどのようなテストがあるんですか?

井上さん: 筆記試験と利き酒のテストですね。4種類か5種類くらいのお酒の銘柄を当てるテストでしたね。

記: なるほど。ところで一般的な酒屋さんはいろいろなお酒を置いていますが、井上さんは日本酒の利き酒師として、日本酒をメインにして売っていきたいと思われますか?

井上さん: そうですね、いつかは日本酒100%で売りたいと思っているんですが、ただ人間っていうのは弱いもので、たとえ日本酒が売れていても、ビールも売れているから、ビールを売ることもなかなかやめられないようになってくるんです。 うちの店はほかの店と比べてビールの比率は小さいんだけど、それでもやっぱり25%くらいはあって、本当はビールを売るのを辞めたらいいんだけど、それがなかなかできないんです。 確かに日本の中でそれをやっている人は何人かいるけど、やっぱりそれは東京などの大都市での話です。

記: 想いを貫くっていうのは大変ですね。

井上さん: 大変大変。でも僕らはこうやって日本酒を売っている人間でもこういう想いがあるということを知ってもらうだけでもありがたいですね、今まではそういう光さえあててもらえなかったから。

記: 井上さんはこの酒業界では成功している方だと思うのですが、そのノウハウを他の酒屋さんに提供して、一緒に業界を盛り上げていこうとは思ったりしますか?

井上さん: そうですね、もしノウハウを聞きにきてもらったらそれはいくらでも教えますね。でもそれに想いがついてこなかったら酒は売れないんです。 例えばね、コンビニなんかは完全にノウハウなんです。メーカーの開発なんかもコンビニの棚にあわせた商品を開発していくといったレベルでいいわけです。 でも僕らは極端に言ったら、店舗なんかボロボロで汚くてもよくて「おっさんが好きなんや」とかいう部分が大切で商売につながるんです。 「あそこのおっさんの顔を見に行ったろうか」とか、「あいつの勧める酒はやっぱり美味いなあ」とかいう思いが大切ででもそこは気持の問題だから、教えて分かるということは難しいんです。

 
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